- どうして日本の住宅は高いのか?
- 戦後の住宅建築の歴史
- 依頼先と工法の種類
- 一番有効な資金計画は?
- 風水と家相
- 住宅営業マンの裏話
注文住宅は、完成品を売買する仕組みの工業製品と異なり、設計図書やそれに従った見積書にお互いが合意し、また請負契約をしてから工事が始まります。
その見積りには、工事に必要な「材料代」と作業する人の「手間賃」とが「原価」となり、それに業者の「経費」が加算されて、最終的にお客様の工事代金となります。
建築資材については必要な品目と数量が現場に届けられますが、その材料は職人が買ってくるももの、下請けの会社が購入するもの、お客様から請負った会社(元請)が準備するものとあり、それぞれにまた経費がかかるわけです。それらをまとめて購入すれば安くなりますが、それにはまた購入する手間や倉庫代などがかかります。さらに、それを個々の住宅現場に搬送する手間や運賃がかかり、それらを含めて考えるとなかなか安くはならないものなのです。大量な建築を行う住宅会社では、使用する材料を個々の現場で購入すると材料の品質にバラツキが発生するため、自分の会社で購入して現場に支給します。主要な構造材などはほとんど元請会社が準備し、欠陥があったときなどは責任がとりやすいしくみとなっています。
一般的な建築工事においてその各作業は様々な専門会社に委ねられます。それがいわゆる下請け会社です。その下請け会社には、大工業や左官業といった職人を束ねている会社や、インテリアやエクステリア、キッチンなどの分野を担当する専門家を束ねた会社など多種類あり、それらが分かれて組織化されています。これらの下請けをする専門の会社は十数社に細分化され、それら下請け会社をまとめるのが現場監督です。
職人や専門家はこの専門会社に所属し組織化されることで仕事を安定的に確保でき、また企業は下請けがあることで固定の指示系統により仕事を機能的に進められます。そして最終的な料金の上では、この組織化された下請け会社の確かな仕事の料金として経費が上乗せされ割高になるのです。
見積書に表示されるこの経費は、各現場で使用する経費や会社の地代家賃、人件費、広告宣伝費、その他会社を維持するための費用となります。
こうした内情により日本の住宅が割高になっているわけです。より適正な価格に近づけ、且つ安価な契約を可能にするには、我々コンシェルジュが有する専門知識と業界での経験が必要不可欠なのです。
住宅の価格は国によって内訳が異なり、国によっては建築本体のみの価格を言うこともあるので、日本の住宅が一概に高いともいえません。例えば、日本のツーバイフォー工法住宅は、アメリカから導入された技術基準で建てられているものです。そこで、同じ建物をそれぞれの国で見積ってみると、単純な為替換算では確かにアメリカの住宅のほうが安いという結果が出ました。しかし、購買力平価(おのおのの通貨で自国内の商品・サービスをどれだけ購買できるかという比率)を勘案すると価格は変わらないのです。つまり、生活文化の異なる国の住宅を単純に比較してもあまり意味がないということです。
ただ、日本の住宅の特殊性というものはあります。一般的には日本の住宅は小さな割に手間がかかっています。和室では、構造と仕上げが分離されていないので、すべて建設会社に任せざるを得ないなど複雑な仕組みがあり、また素人ではどうにもならない高度な職人技が必要なところもあります。小さな建物の割に複雑で手間のかかるしくみになっているのです。そのことが住宅の価格を高くする背景ともなっています。
アメリカでは、予算がある人は下地までの最終仕上げをインテリアコーディネーターなどに頼みますが、中には自分で作業をすることもあります。構造と仕上げ部分が分離されているので予算に合わせて造作でき、仕上げのグレードもコントロールしやすいのです。これからの時代、若くして住宅を建てるような方々は、DIYの思想を取り込んだ検討も必要かもしれません。
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